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● 遺産分割の手続き

遺産分割の種類について

@ 遺言による指定分割

被相続人が遺言に定めた方法で遺産分割を行います。被相続人が遺言の中で、第三者に分割方法を決めるように委託する場合もあります。遺言執行者が指定されている場合は、その遺言執行者によって遺言の内容が実現されます。遺言執行者が指定されていない場合(認知など必ず遺言執行者が必要な場合を除く)は、相続人が各種手続きを行うことができますが、財産内容や相続人同士にトラブルがあるような場合には、遺言執行者を選任した方がスムーズに遺産分割を進めることができます。

A 協議分割

相続人全員の合意に基づいて遺産分割を行う方法です。相続人どうして行う遺産分割の話合いを遺産分割協議といいます。遺産分割協議は相続人全員の話合い・合意がなければ無効です。一人でも協議内容に反対する人がいる場合は有効に成立しません。協議分割では、遺産の分割について法定相続分に拘束されず、相続人同志の話合いで自由に決めることができます。また相続人に未成年者成年被後見人がいる場合は、法定後見人が代わって協議に参加します(特別代理人の選任が必要な場合もあります)。遺産分割協議が成立すると、その内容を書面にした遺産分割協議書を作成します。
 また、遺産分割協議はいつまでにしなければならないという期限はありません、しかしながら相続税納付の際に配偶者の税額軽減措置などを受ける場合には、遺産分割協議が終わっている必要があります。
※被相続人は遺言で遺産分割を一定期間(5年以内)禁止することもできます

B 調停分割

協議分割で相続人同士の話し合いがまとまらない場合などでは、家庭裁判所の調停によって遺産分割を行います。調停では調停委員や家事審判官が相続人の話合いを仲介し、全員が納得できる分割案の作成の手助けをしてくれます。
 調停分割での家庭裁判所の役割は、あくまで手助けです。最終的に分割案を決定するのは相続人になります。調停分割が不成立となった場合は審判分割に自動的に移行します。

C 審判分割

家庭裁判所の審判によって遺産分割を行います。家庭裁判所は遺産に属する物や権利の種類と性格、各相続人の年齢・職業・生活状況・心身の状態などを考慮した上で、審判を行い遺産を分割します。通常は調停分割が不成立に終わった場合に行われます。


遺産分割協議書の作成

遺産分割協議によって、分割の内容が決まったら遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書は法律で作成が義務付けられている訳ではなく、作成しなかったとしても遺産分割協議が無効になることはありません。、しかし各遺産の名義変更の手続きや、相続登記の際に添付しなければならない他、取得した相続財産を明記しておくことで、相続人間のトラブルを防ぐこともできます。
 作成の期限についても定められてはいませんが、相続税の申告期限である10ヶ月以内には作成をした方がよいでしょう。

● 遺産分割協議書の作り方

●必要書類
@ 被相続人の出生〜死亡までの戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍)
A 被相続人の最後の住所地の住民票除票(または戸籍の附票
B 相続人全員戸籍謄本・住民票
C 相続人全員印鑑証明書
D 相続不動産の登記事項証明書登記簿謄本)または権利証

遺産分割協議〜遺産分割協議書作成の流れ
@ 戸籍を確認して相続人を確定する
A 相続財産の調査。モレがあると遺産分割協議をやり直すことになる場合もあるので注意
B 相続人全員の話合いにより、分割の内容を決定します
C 遺産分割協議の内容に沿って、遺産分割協議書を作成します

●遺産分割協議書の記載事項

遺産分割協議書には、特に決まった書式があるわけではありません。しかし、誰がどの財産を取得するのかについてはしっかりと明記し、誤解を招かないような表記が必要です。

被相続人を特定する為の
記載事項
被相続人の氏名・最後の本籍地・最後の住所地・死亡した年月日
相続財産に不動産がある場合
の記載事項
所在・地番・地目・地積・家屋番号・種類・構造・床面積(登記簿謄本の内容を正確に記載する
相続財産に有価証券・預貯金がある場合の記載事項 銘柄・証券番号・株数
金融機関名(支店名)・口座種類・口座番号
・残高
負債がある場合 借入金・未払い金の額 
財産の内容に関する記載事項 各相続人が取得する財産の内容を分割の方法を含め具体的に記載。
後日発見された相続財産に
関する記載事項
遺産分割協議書に記載した相続財産にモレがあった場合(後日相続財産が発見された場合など)にどのようにするのかを記載しておく。
※「上記以外の財産が発見された場合は、相続人○○○○が相続する」など
 

遺産分割協議書は上記の様な項目を確認・記載し、相続人全員の同意を得た上で、署名・押印(実印)する。
 遺産分割協議書は、相続人の人数分作成し、各自の印鑑証明書を添付して各自が1通づつ保管する。

遺産分割調停の申立

遺産分割協議がまとまらず、遺産分割を行えない時は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。この調停は、相続人の1人もしくは何人かが、他の相続人全員を相手方として申し立てることになります。
 申立先は、相手方の内の一人の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所になります。調停は、民間人から任命された家事調停委員と家事審判官(裁判官)で厚生される調停委員会によって進められ、各相続人が調停委員の意見を聞きながら話合いを行い、分割の内容を検討します。
 話合いがまとまり、全員の合意が得られた場合は、調停調書が作成されます。この調停調書は確定判決や確定した審判と同一の効力があるので、これに基づいて調停の内容を強制的に実現することができます。
調停を申し立てることができるのは、共同相続人・包括受遺者・相続分譲受人・遺言執行者(包括遺贈の場合)です。

遺産分割調停の申立に必要な書類・費用

@遺産分割調停の申立書
A被相続人の戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍)
B相続人全員の戸籍謄本・住民票
C遺産目録・当事者目録
D不動産登記簿謄本、遺産に関する資料、固定資産税評価証明書
●収入印紙1,200円+連絡用の切手代


※ 家庭裁判所 遺産分割調停のページ
※ 遺産分割調停申立所 記入例

不在者財産管理人の選任

相続人の中に、所在が不明で連絡を取ることもできない人がいる場合、そのままでは遺産分割協議を行うことができません。その不在者に遺産の分割に関する代理権を与えられた財産管理人がいる場合は、その財産管理人が不在者の代理人として遺産分割協議に参加することになりますが、そのような人がいない場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てることになります。さらに選任された不在者財産管理人が遺産分割を行うための「権限外行為許可」の申立を行うことで、遺産分割協議に参加できるようになります。

不在者財産管理人の申立権者は、所在不明者の配偶者や相続人債権者などの利害関係者検察官です。申立先は不在者の従来の住所地を管轄する家庭裁判所です。

不在者財産管理人選任の申立に必要な書類・費用

@ 不在者財産管理人選任の申立書
A 申立人・所在不明者の戸籍謄本
B 財産管理人候補者の戸籍謄本と住民票
C 不在の事実を証する資料(不在者の戸籍謄本附票)
D 利害関係を証する資料
E 財産目録・不動産登記事項証明書
● 収入印紙800円+連絡用の郵便切手代

※ 家庭裁判所 不在者財産管理人選任についてのページ
※ 不在者財産管理人選任申立書 記入例


 失踪宣告について

失踪宣告とは、@不在者の生死が7年間不明の場合(普通失踪) A戦争や船舶の沈没、震災などの危難に遭遇し、その危難が去ってから1年間の生死が不明(危難失踪)の場合に、家庭裁判所に申立てすることができます。失踪宣告がされると、生死不明の者は法律上死亡したものとみなされ、その結果行方不明者の相続が開始します。死亡日とみなされるのは、普通失踪場合は7年間が経過した時点、危難失踪の場合は危難が去った時となります。

失踪宣告の申立人は、所在不明者の配偶者や相続人債権者・受遺者などの利害関係者です。

失踪宣告の申立に必要な書類・費用

@ 失踪宣告の申立書
A 申立人・不明者の戸籍謄本
B 不在の事実を証する資料(不在者の戸籍謄本附票)
C 利害関係を証する資料
● 収入印紙800円+連絡用の郵便切手代、官報公告料4179円

※ 家庭裁判所 失踪宣告のページ
※ 失踪宣告申立書 記入例

成年後見人の選任

相続人の中に、認知症や知的障害、精神障害などの理由で、自分の行為や、その行為の結果などについて合理的な判断ができない人がいる場合には、そのままでは遺産分割協議を進めることはできません。この場合、判断能力のない相続人に代わって、本人の利益を図り、遺産分割協議に参加する人を選ばなくてはなりません、その為の手続きが後見開始の申立です。家庭裁判所の審判によって上記のような相続人は成年被後見人とされ、その人に代わって法律行為を行う成年後見人が選任されます。この成年後見人が成年被後見人に代わって遺産分割協議に参加することになります。

 後見開始の審判を申し立てることができるのは、本人・配偶者・4親等以内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、補佐監督人、補助人、補助監督人、検察官などで、本人の住所地の家庭裁判所に申立を行います。

●後見開始の申立〜登記までの流れ

@ 家庭裁判所に後見開始の審判を申立
             ↓
A 審問・調査・鑑定が行われる。家庭裁判所の職員による申立人、後見人候補者、本人への事情  確認や意見確認や、家事審判官による事情確認(審問)が行われる。また本人の判断能力につ  いて鑑定が行われる場合もある。
             ↓
B 家庭裁判所による後見開始の審判が下され、同時に成年後見人等の選任が行われる
  審判の内容は本人、成年後見人に選任された者に伝えられます。
             ↓
C 不服申立てがなければ、成年後見人等が審判書を受領してから2週間で審判が確定します。
             ↓
D 法務局で成年後見登記がなされ、成年後見人等の業務を行うこととなります。


後見開始の申立に必要な書類・費用

@ 後見開始申立書
A 申立人の戸籍謄本
B 本人の戸籍謄本・戸籍附票・
C 本人の診断書・成年後見登記事項証明書
D 成年後見人候補者の住民票又は戸籍附票
E 成年後見人候補者の身分証明書・成年後見登記事項証明書 
● 収入印紙800円+連絡用の切手代、登記手数料 収入印紙2600円、その他鑑定費用が必要になる場合   がある。

※ 家庭裁判所 後見開始の審判についてのページ
※ 後見開始申立書 記入例

※※成年後見制度について

未成年者の特別代理人の選任

相続放棄と同じように、遺産分割協議においても特別代理人の選任が必要になる場合があります。例えば父親が死亡し、相続人が母親と未成年の子であった場合に、母が未成年の子の代理人として遺産分割協議を行うと、母親に有利な分割案をまとめて、子の利益を損なう可能性があります(このような状態を利益相反といいます)。そのため、子の利益の保護の観点から、特別代理人を選任してその代理人が遺産分割協議が行われるようにしているのです。また、母親が相続を放棄し相続人でなくなった場合は、子の代理人となることができますが、親が代理できるのは一人の子だけの為、未成年の子が複数いる場合には、母親等が相続人でなかったとしても、特別代理人の選任が必要です。
 特別代理人の選任は、親権者・利害関係者が、子の住所地を管轄する家庭裁判所に申立を行います。

● 特別代理人選任の申立の必要書類・費用

@ 特別代理人選任申立書
A 申立人(親権者)と子の戸籍謄本
B 特別代理人候補者の戸籍謄本・住民票
C 利益相反行為に関する書面(遺産分割協議であれば、遺産分割協議書案など)
● 子1名につき収入印紙800円+連絡用の切手代

※ 家庭裁判所 特別代理人選任(利益相反について)のページ

※ 特別代理人選任申立書(遺産分割協議) 記入例 

遺留分減殺請求権について

遺留分とは、被相続人の配偶者や子など、遺族の最低限の生活保障のために認められた一定割合の相続財産を取り戻す事のできる権利です。遺留分が侵害されている場合には、遺留分減殺請求権を行使して、自分が相続する権利のある財産を取り戻すことができます。遺留分減殺請求はその意思表示を行うことで行使できます。意思表示には通常、内容証明郵便で行います。
 遺留分減殺請求権は相続開始を知った時から1年、相続の開始から10年で時効となってしまいます。

相続財産全体に対する遺留分の割合

 法定相続人  遺留分
 子のみ・配偶者のみ
 子と配偶者・配偶者と直系尊属
 財産の1/2
 直系尊属のみ  財産の1/3
 兄弟姉妹  遺留分なし

※ 遺留分権者が複数の場合は上記各遺留分に法定相続分をかけた割合となります

●遺留分減殺請求に応じない場合

遺留分減殺請求権を行使しても、相手が素直に財産の返還を行ってくれるとは限りません。例えば、遺留分を侵害しているのが、他の相続人や包括受遺者であった場合は、家庭裁判所の家事調停(遺産分割調停)を行う方法があります。また特定遺贈や贈与によって遺留分を侵害された場合は、遺留分減殺による物件返還請求調停によって財産を取り戻します。

遺留分減殺による物件返還請求調停の申立ができるのは、遺留分権利者、遺留分権利者の承継人です。申立先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所となります。

遺留分減殺による物件返還請求調停申立の必要書類・費用

@ 遺留分減殺による物件返還請求調停申立書
A 申立人及び相手方の戸籍謄本・住民票
B 被相続人の出生〜死亡までの全ての戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍)
C 相続人全員の戸籍謄本
D 物件目録、不動産登記事項証明書など
E 遺言書の写し
● 収入印紙1,200円+連絡用の切手代


※ 家庭裁判所 遺留分減殺による物件返還請求調停のページ

※ 遺留分減殺による物件返還請求調停申立書 記入例




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